2009年05月11日

メタバース(仮想三次元空間)事業の現在

先日、ビジネスパーソン向けSNSのLinkedInが米国で成功しているにも関わらず、日本ではビジネスパーソン向けSNSが一向に普及する気配がない、という内容を書いたが、同じく日本で普及する気配がない(と現時点で思われている)ものの1つとして、メタバースが挙げられるだろう。

メタバースとは仮想三次元空間のことで、「Second Life」や「Habbo」などは日本でも一定の知名度があるだろう。この4月に実はHabboは日本でのサービスを終了しているが、Techcrunchに拠れば、このティーン向けメタバースのグローバルでの売上は7400万ドル、UU1150万、キャラクター数1億2000万以上にもなる。

日本では、Habboのような大手が撤退する一方で、「ニコッとタウン」のように新たに(08年9月)参入する事業者もいる。ニコッとタウンはスクウェア・エニックスとニフティによるHabboと同じ2Dの仮想空間で、ブラウザ上のFlashで表示される為、インストール等の手間もPCのスペックなども要求されないのが特徴。09年4月末で20万人の会員を獲得、毎日23000のブログ投稿がある等、プレスリリースに記載されている。09年1月に10万人、そこから3ヶ月で10万人獲得、ブログ投稿から見ればアクティブ率も高く、順調に成長していると言える。日本版Habboと言っても差し支えないだろう。

http://www.nicotto.jp/

「アメーバピグ」はサイバーエージェントのメタバース事業で、ニコッとタウンにやや遅れてサービスが開始されたものの、ニコッとタウンを上回る立ち上がり(サービス開始1ヶ月で10万人の会員を獲得)を見せている。成長速度という点では母体のアメブロには500万人の会員がいるのだから、当然の結果と言えるかもしれない。サービス内容自体にはそこまで大きな差はない。

http://pigg.ameba.jp/

独自性・目新しさという点ではドワンゴによる「Ai Sp@ce」だろう。美少女キャラクターとの恋愛がテーマとなるアドベンチャーゲームやアニメーションの世界が再現された仮想空間である。自分自身のアバターだけでなく、一緒に生活するキャラドルを作ることができ、作成したキャラドル達との関係性を作り上げていく育成・恋愛ゲームの要素もこのメタバースの売りとなっている。

http://aisp.jp/home.html

そして、この4月で正式サービスインから1周年を迎えたのが、「Meet-me」である。運営・開発を行うCo-Core社は、家庭用ゲーム機用のゲーム開発で知られるフロム・ソフトウェアやトランスコスモスのジョイントベンチャであり、伊藤忠商事、フジテレビ、イオン、さらにはスクウェア・エニックスからも出資がある。大企業を巻き込むことに成功しており、マネタイズには最も近いところにいるサービスだろうが、会員獲得に苦戦している模様だ。

http://www.meet-me.jp/

スクウェア・エニックスが「ニコっとタウン」と「Meet-me」両張りしていることからもわかるように、メタバース事業の勝者はまだまだ決しそうにない。Yahooが2次元のポータルサイト事業として大きな成功を収め、いずれ、その勝負の場が3次元に移ると考えれば、チャレンジせずに手をこまねいて見ているだけ、という選択肢はないのだろう。大半のメタバースが過疎に陥り、隙間がぴゅうぴゅう吹いている状態だと知っていても、そこに張らないリスクが大き過ぎる、と皆考えている。

■ 新規事業立ち上げに際して考えてみたい
DeNAの「モバゲータウン」が主にティーンをターゲットとして急成長し、その後で20代〜30代にも普及していった。携帯電話というデバイスや無料で遊べるゲームコンテンツだから、ティーンというのもあったのだろうが、アメーバピグやニコっとタウンの立ち上がりを見ていると、新しいサービスの利用に積極的であり、良いサービスであれば口コミであっという間に横に広がっていくというティーンの別の特性も見逃せない。

最初はティーンをターゲットにして事業を立ち上げ、後に年齢層を上げる形でターゲットを広げていく、という考え方はできないだろうか?
ラベル:IT メタバース
posted by 新規事業立ち上げマン at 01:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 新規事業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月03日

メガストア「ユニクロ新宿西口店」

ゴールデンウィーク初日の今日は、4月24日にオープンしたばかりという新宿西口(小田急ハルク向かい)のユニクロ メガストアに行ってきた。

オープン後3日間はオープン記念セールと称して、先着1000名限定の特売品があったようだが、この日はそんなこともなく、とは言え、話題性とゴールデンウィークの人出も手伝ってか、売り場は芋洗いの様相を呈していた。

地上4階地下1階580坪という広さは、同じく都心の大型店舗である450坪の銀座店と較べれば1回り大きいが、銀座店が700店に拡張する予定があることを考慮すれば、売り場の見せ方に目新しさもなく、新宿店だけが「メガストア」だと言うのは、不思議な感じだ。広さという意味でも、売り場の面白さという意味でも、地上1階900坪の千歳船橋店が圧倒的に勝っている。
オフィス街に近い西口というロケーション、22時までの長めの営業時間を考慮すると、これからは徐々に、オフィス帰りのサラリーマン・OLの平日の需要を当て込んだ、都心型の店舗、として存在感を発揮するような方向に伸ばして行くのだろうか?

尚、前述の千歳船橋店の2階はいわゆるスーパー銭湯(入館料は約1600円)となっており、1階のユニクロと合わせて、大人も子供も半日は充分に楽しめる知る人ぞ知るローカルコンテンツだ。ファミリーでユニクロでの買い物を楽しんだ後、スーパー銭湯で買い物疲れを癒し、リフレッシュする。

■ 新規事業立ち上げに際して考えてみたい
足し算ではなく掛け算になるようなコンテンツの組み合わせは、他にも考えられるのではないだろう?

http://www.uniqlo.com/
posted by 新規事業立ち上げマン at 02:04| 新規事業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月29日

リノベーション済み中古マンション販売「インテリックス」

首都圏のマンションのうち、実に4割以上(280万戸に対する115万戸)が築20年以上である。しかも、その数は急増しており、2020年には築20年以上のマンションはさらに2倍(220万戸)に増えるという。

中古マンションの増加を背景に、リノベーション市場が成長している。リノベーション済みの中古マンションを購入することは「新築よりも安く、綺麗な住まいを手に入れることが出来る」「新築の物件がほとんど出回らないような人気のエリアに住むことができる」「内見した上で物件を決めることが出来る(人気の新築物件は予約だけで売切れてしまう為、内見のチャンスがないことが多い)」などである。

東証2部のインテリックスは中古マンションにリノベーションを施し、それを販売することで業績を伸ばしてきた。平成7年に業務を開始して、現在売上470億、営業利益20億、経常10億、従業員数150名まで規模を拡大している。今回の信用収縮危機を生き延び、底値で中古マンションを拾い集めることが出来れば、更なる成長が期待できよう。

■ 新規事業立ち上げに際して考えてみたい
中古マンションのリノベーション以外でも、1度使われた中古品にお金を掛けて価値を向上・転換させ、それを再利用する・リサイクルするという考え方は、活かすことが出来るのではないだろうか?

http://www.intellex.co.jp/
ラベル:不動産
posted by 新規事業立ち上げマン at 02:22| 新規事業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする