ヤマト運輸グループの社員から新規事業のアイデアが応募されるのだが、その際の条件として、1)事業開始後3年以内に単年度黒字化が見込める事業である、2)応募者自ら経営する意欲があり、リーダーとしての資質を持っていること、が問われる。
立ち上げ「3年以内の単年度黒字化」は社内ベンチャーや新規事業への投資判断を行う際によくある一般的な基準だろうが、後者の「リーダーとしての資質」については、あまり見ない基準だ。まずは事業コンセプトありきで、実行者の能力(モチベーションはともかく)については不問とする組織が多い。
応募者は、社内専門家による助言や協力の場を経て、1次審査「本部長プレゼン」、そして2次審査「役員プレゼン」と進む。2次審査で応募案が採用されると、予算1000万円でフィージビリティスタディを行う。立ち上げ3年後までは、毎年5月に事業継続審査が行われる。
「Y-Venture Dream」による新規事業の第1号としてコールセンター業務をアウトソーシング受託する「ヤマトコンタクトサービス」、第2号が先日も紹介した買い物代行事業の「ネコレ」がある。
「ヤマト運輸の新規事業への取り組みは、「Y-Venture Dream」の枠の外でも非常に活発で、「メンテナンスサポートサービス」や「ネットスーパーサポートサービス」など、時代の流れを読みながら、自社の強みを活かす形でビジネスとして形に作り上げていくさまは、例えばリクルートと較べても遜色がない。何故か?
ヤマトホールディングス瀬戸社長は日経ビジネスのインタビューで、新しいビジネスを成功させるための重要なポイントは何かという質問に対してこう答えている「ソリューションの種は常に現場にある。それをキチンと形にするためには、宅急便のセールスドライバーが顧客と対話するなかで新たな課題を見つけ出して、それを踏まえて専門のスタッフが最適な提案をしていくことが重要です」
■ 新規事業立ち上げに際して考えてみたい
その新規事業には、顧客と対話して顧客の声や不満を抽出する、そんなコンタクトポイントがあるだろうか?ヤマト運輸は、運転手をセールスドライバーと位置づけることで、顧客からの生の声を収集、新規事業開発で一歩先を行き、競合優位を保ち続けている。
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ラベル:ヤマト運輸